巷では、「吐くのを2回、吸うのを2回」とか、「鼻から吸って口から吐いて」など、様々な呼吸法が紹介されています。

ですがここでは、特定の呼吸法を推すことはしません。むしろ、誰にでも当てはまる呼吸の活用法を紹介します。


1.呼吸は赤ちゃんでもできる無意識の行為

呼吸するときに、「まずは横隔膜を下げて、お腹の空間を広げて…」などと意識している人はいません。

なぜなら、呼吸は自動化された行為だからです。それなのにランニングの時だけ意識しても、上手くいくはずがありません。

それを新鮮だと感じて楽しめるなら良いですが、普段意識しないことに気を取られて、かえって疲れてしまう可能性のほうが大きいと思います。


2.ペース設定ではランニングの負荷を一定にすることはできない

ですが、自分の呼吸のリズムを知っておくことは大事です。それはランニングの負荷を調節するのに役立つからです。

ランナーはマラソン本番でも練習でも、「今日は1㎞当たり何分ペースで走ろうか」というペース設定をよく行います。

やたらペースを上げ下げすると無駄なエネルギーを使ってしまい、疲れてしまうからです。

しかしここに大きな落とし穴があります。「1㎞当たり何分」というペースはあくまで平均した話で、レースの最中では変わって良いのです。

なぜかと言うと、トラック競技ならまだしも、マラソンのような長距離レースになると、コースの途中には坂道もあれば路面や道幅の異なる場所もあり、また風邪の影響を受けたりもするからです。

条件が変われば走りやすさも変わるので、ペースは変わって当然なのです。





3.呼吸を目安にして効率的に走る

そこでペースに変わってランニングの負荷を一定にするための指標、それが呼吸です。

呼吸は酸素を取り込む行為ですが、運動には、「酸素摂取量と運動負荷は比例する」という大原則があります。

それはつまり、呼吸を指標にすれば、ランニングの負荷を一定にキープすることができるということです。

具体的には、「この5㎞は少しペースダウンしているけど、呼吸の速さは変わっていないから、ランニングの負荷は変わっていないはずだ」「ペースダウンしているのは、よく見ると緩やかにコースが上っているからだな」などと冷静に状況を把握できるようになります。

このような、「ランニングの負荷を一定にして効率的に走るために呼吸を活用する方法」こそが、ランニングにおける正しい呼吸法と言えるでしょう。


4.どうしても呼吸が苦しくなったときの対処法

それでも、レースや練習も終盤に近づいてくると、どうしても呼吸は苦しくなってきます。疲れてくるのでそれは当然です。でも吸っても吸っても苦しいときは、一度大きく息を吐いてみましょう。

実は呼吸の仕組みとして、肺の中には、私たちが息を吐いても残っている空気があります。これを残気量と言いますが、残気量が増えすぎると私たちは空気を吸えません。

ですので、頑張って吸っているのに空気がうまく入ってこなくて苦しくなる一方だと感じたら、ここで初めて、吐く動作を意識して強く大きく行ってみましょう。

自然と大きく深く空気を吸えるようになるはずです。呼吸の仕方そのものを意識するとしたら、この程度で十分です。むしろ呼吸の意味や役割を理解して、効率的なランニングに生かしていってください。