ランニングに慣れてきた方は、練習にメリハリをつけますと、よりランニングが上達します。

レースや大会などでタイムの目標を掲げている方は、目標とするタイムに合わせた強度の高い練習が必要になります。

常に練習強度の高い練習をするのではなく、練習にメリハリをつけて効果的に練習を行うことが大切です。


1.練習の組み立て方

練習の組み立ての考え方の基本は、期間を定めて、それぞれの期間の目的を持ち、それぞれの期間に適した負荷と回復をうまく組み立て、練習の効果を最大にすることにあります。

“超回復”という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

ご自身の“超回復”期間を把握されて、“超回復”を念頭に置いた練習期間の目的と練習の組み立て方がわかりますと、ランニングがより上達します。


超回復とは

“超回復”とは、強い負荷をかけることで傷つき衰えた筋肉細胞が休息によって回復し、さらに負荷を受ける前よりも筋力が強くなる現象をいいます。

過負荷から2日~4日間が超回復の期間といわれ、その期間に過負荷運動を行い、次の回復を待つということを繰り返すことで、筋力を合理的に増強できると考えられています。

練習の組み立て方は“超回復”の考え方を基本に考えます。

筋肉痛は何日間か続く場合がありますので、ランニング初心者の方、ランニングに適した体重でない方、中高年以降の方などは、筋肉痛があった“翌日”に、“筋肉痛が無くなった日”がポイント練習を組まれるひとつのタイミングです。

練習強度を調整して、初日のポイント練習を中強度にし、軽い筋肉痛の状態で翌日に高強度のポイント練習を行うなどの工夫の仕方もあります。

注意点として、ポイント練習は体や心肺機能などに相当な負荷がかかりますので、ご自身の走力、状態、ご年齢などに合わせた強度にすることが大切です。

無理をしますと怪我や心筋梗塞、脳梗塞などの病気のリスクが非常に高まります。

特にランニング初心者の方、ランニングに適した体重でない方、中高年以降の方などは無理をしないことが大切です。


2.練習の期間の考え方

練習の期間の考え方は、
・体づくり期
・シーズン移行期
・調整期
・シーズン期
に分けることができます。

体づくり期で体をつくり、シーズン移行期に遅めのインターバルトレーニングや乳酸処理能力を上げるペース走などで徐々にハイペースに対応できる練習をして、調整期にレースペース以上のインターバルトレーニングなど目標とするタイムを追った練習などを行いつつ、総走行距離が落ちるのでしっかりと疲労回復を行い、シーズン期に入るという考え方です。


具体的な練習期間の例

マラソンをメインに12月~2月をシーズン中として1年間の期間を考えますと、
3月~8月:体づくり期(トレイルランニング、長い距離のペース走、筋力トレーニングなど)
9月~10月:シーズン移行期(インターバルトレーニング、早めのペース走など)
11月:調整期間(レースペース以上のインターバルトレーニング、早めのペース走、回復ジョギングなど)
12月~2月:シーズン期(レース・大会がメインであり、筋力・体力を落とさないための中~高強度のトレーニング、回復ジョギングなど)
※シーズン期でも、目標としているレースがある場合は、目標としているレース以外のレースは調整およびトレーニングの一環として捉えます。)
が一例になります。

3月~8月の体づくりの期間が長いので、春~初夏にかけて体づくり期間中のなかで期間を分けてトラック競技に取り組まれても良いかと思います。


3.練習の組み立て方の例


1.走力のある学生などの練習の組み立て方の例

月:ポイント練習(中強度)もしくは回復ジョギング※ポイント練習はビルドアップ走など
火:回復ジョギング
水:ポイント練習(中強度)※長めのペース走など
木:ポイント練習(高強度)※インターバルトレーニングなど
金:回復ジョギング(低強度)
土:回復ジョギング(低中強度)
日:ポイント練習(中強度もしくは高強度)※トレイルランニングなど
が例として挙げられます。

水・木の連日のポイント練習の考え方として、水曜日に中強度のペース走で軽い筋肉痛になり、翌日木曜日に足が筋肉痛でだるい状態で高強度のスピードに慣れる練習・スピード練習のインターバルトレーニングなどを組まれますと、レースや大会で足に疲れがきたとき、足がだるくなったときでも、一定のペースで押していける意味を込めています。




ポイント練習は、目標としているレース・大会の距離に合わせて、その内容が変わります。

例えば、
・トラックレースを目標としている場合:ペース走、ビルドアップ走、変化走+インターバルトレーニング(ハイペースに対応し、乳酸処理能力を高める)がメイン
・ハーフマラソンやフルマラソンを目標としてる場合:乳酸処理能力を上げるペース走(長い距離)+インターバルトレーニング(ペースは遅めで長めのインターバルトレーニング)がメイン
というように内容が変わります。


2.ポイント練習の注意点

ポイント練習は相当な負荷がかかりますので、毎日練習ができない方は、ポイント練習よりも通常のランニング(ジョギング)が大切です。

毎日練習ができない方は、高強度のポイント練習は控えて、中強度のポイント練習で距離を長めに走るなどの工夫が大切です。

ランニング初心者の方、ランニングに適した体重でない方、中高年以降の方などは連日のポイント練習は無理があると思いますので、一日ポイント練習をしましたら、しっかりと超回復を待ってからポイント練習を行うようにしましょう。


3.レース前の練習の組み立て方の例

月:回復ジョギング
火:ポイント練習(中強度)※ペース走など
水: ポイント練習(総走行距離が短い高強度)※インターバルトレーニングなど
木:回復ジョギング
金:回復ジョギング
土:回復ジョギング+1000mまたは2000mをレースペースで1本※体に刺激を入れる程度
日:レース、大会
が例として挙げられます。

レース前の練習は、疲労を取り除くことを第一に考えつつ、筋力は落とさずに、前日もしくは前々日に疲労回復ジョギング+レースペースで1000mもしくは2000m×1本などで体に刺激を入れて、レースや大会のペースに対応できる準備をすることが大切です。


4.ランニングポイント練習について~メリハリをつけましょう

ポイント練習の主なものをお伝えします。


1.スピードに慣れる練習・スピード練習

・インターバルトレーニング
例:400m(レースペース前後 中間走100m~200m)×10本
1000m(レースペース前後 中間走100m~400m)×5本
など


2.持久力を上げる練習

・ペース走
例:20㎞ペース走(例:レースペース+30秒~+60秒)
など


3.スピードや長い距離に耐える体づくりの練習

・クロスカントリー走
例:クロスカントリーにてペース走
・トレイルランニング
など


4.乳酸処理能力を上げるトレーニング

・インターバルトレーニング
・10000m~16000mペース走(5000mのレースペース+15秒~+20秒)
など


5.レースの駆け引きに対応するトレーニング

・ビルドアップ走
例:10000mビルドアップ走(例:4分ペースから2000m刻みに10秒アップ)
12000m変化走
(例:2000m:4分/㎞→2000m~4000m:3分30秒/㎞→4000m~7000m:3分50秒/㎞→7000m~9000m:3分20秒/㎞→9000m~11000m:3分10秒/㎞→ラスト1000mは状態に合わせた全力走)
など


5.その他の練習について

ポイント練習以外の練習についてお伝えします。


1.疲労回復が目的のトレーニング

・通常のジョギング
・LSDトレーニング※持久力アップ(毛細血管を育てる)も兼ねます
・水泳
など


2.体づくりが目的のトレーニング

・筋力トレーニング
 例:サーキットトレーニング


3.俊敏性を養うトレーニング

・ラダートレーニング
など

ポイント練習以外のトレーニングであっても、疲労回復ジョギング+サーキットトレーニングなどで疲労回復練習にも強弱をつけることができます。

期間の目的に合わせて、疲労回復練習に適度に強弱をつけることで、よりランニングが上達します。


6.まとめ

いかがでしたでしょうか。

“超回復”を意識されて、ポイント練習と回復のための練習をうまく組み合わせますと練習が合理的でかつ効果がより期待できます。

体づくり期、シーズン移行期、調整期、シーズン期の期間の目的も意識されるとより効果的です。

ご自身の“超回復”期間を把握されて、ご自身に合った練習を組み立てられ、ランニングがより上達すると良いですね。