年齢を重ねるごとに体力の衰えを感じてランニングを始めた、という人はたくさんいると思います。ですが、ランニングは本当に体力作りに役立つのでしょうか。

そもそも体力とは何でしょうか。今回はランニングと体力の関係にフォーカスを当てます。


1.「体力」って、いったい何?

私たちが普段「体力」という言葉を使うのはどんな場面でしょうか。一見スポーツと関係の深い言葉のように思えますが、「体力が落ちると風邪を引きやすい」などというように、日常生活の場面で使われることもよくあります。

実は「体力」は大きく「行動体力」と「防衛体力」に分けることができます。風邪や健康と結びつけて使われるときの「体力」は後者の「防衛体力」で、主に免疫機能を指す言葉として使われます。

一方、強い力を発揮したり長い時間動き続けたりする時の体力は文字通り「行動体力」で、私たちが普段「体力作りのためにランニングを始めた」などと言うときは、こちらをイメージしていることが多いでしょう。


2.行動体力にとってのランニング

さて、まずイメージしやすい「行動体力」から考えてみましょう。実は行動体力はさらに細かく、「筋力」「持久力」「俊敏性」といった要素に分けられます。

ランニングは有酸素運動ですので、この中では持久力を付けるのに最も適した運動と言えるでしょう。エネルギー源として脂肪をよく使うので体重が落ちます。

体重が落ちて身体が軽くなれば、当然今までにない動きやすさを感じるようになるでしょう。楽に動けるようになれば、もちろん長く動き続けられるようになります。

社会人からランニングを始めた人がマラソンを完走すると、皆さん一様に「まさか自分がフルマラソンを完走できるようになるとは…」と達成感に満ちた表情を浮かべます。




これはまさにランニングが体力作りにピッタリなことが分かる瞬間でしょう。3つの中で言えば唯一、パッと動きの方向を切り替えるような俊敏性はあまり変わらないかもしれません。

ですが、もう一つの筋力のほうは、42㎞もの道のりを走るわけですから、あまり注目されない割に実は相当強くなります。


1.防衛体力にとってのランニング

次に「防衛体力」を考えてみましょう。ランニングは免疫機能にも良い影響を与えることが分かっています。例えば適度なランニングはNK細胞の数を増やし、その働きを活発化させます。

NK細胞とはリンパ球の一種で、外部から体内に入ってきた細菌やウイルスなどを退治してくれる役割を担っています。

このNK細胞が増えて働きが活発になるということは、要するに風邪を引きにくくなるということです。

「体力が付くと風邪を引きにくくなる」と言いますが、これは何も走ったり跳んだりする力が付くからではありません。

たとえ筋力や持久力がストップウォッチのタイムからは変化したように思えなくても、身体の中ではこのように免疫機能が変化しているのです。

防衛体力が付くということも、体力作りにおけるランニングの立派な効果の一つなのです。

以上のように、ランニングは様々な面で私たちの体力作りに良い影響をもたらしてくれます。しかし一方で、激しい運動の直後は逆に風邪を引きやすくなるという報告もあります。

例えばフルマラソンを限界まで追い込んで走ったのに、汗をすぐに拭かずに体を冷やしたり、その日の睡眠を削ったりすると、むしろ風邪を引いて体力を低下させる要因になってしまいます。

ランニングだけで終わらずその後の体も労わって、練習と休養をセットにして体力を作っていきましょう。