ランニング障害といえば足や膝の痛みが圧倒的に多く見られますが、マラソンを趣味とする人の中には背中が痛いという人も時に見られます。

普段はあまり意識することがないかもしれない背中ですが、痛みを通して普段の生活を見直してみましょう。


1.背中とはいったいどこか

まず、背中とはどこを指すのでしょうか。例えば肩甲骨の上のほうは、背中と捉える人もいれば、首の付け根だという人もいるかもしれません。

また肋骨の下のほうを背面にたどっていけば、「そこはもう背中ではなくてほとんど腰だ」という人もいるでしょう。このように「背中」といってもその範囲はあいまいです。

実は専門用語には「背中」という言葉はありません。これは私たちが習慣的に体の後ろ側全体を指して使っている言葉なのです。ちなみに「背骨」も正しくは「脊柱」と言います。

日常会話でも「親の背中を見て育つ」などという言い方がありますが、これなどは、「背中」が体のとても広い部分を指すために、それが転じて、働く姿勢や生き方全体を例えるようになったと言えるかもしれません。


2.背中の筋肉の問題

さて、そのような広い背中には、脊柱起立筋という筋肉が縦に通っています。これは腸肋筋、最長筋、棘筋という3つの筋肉をまとめて呼んだ総称で、全体としては、伸びをする時のように体を後ろに反らす働きをします。

背中が痛い原因を筋肉に求めれば、この脊柱起立筋が凝り固まっている可能性があります。




私たちの普段の生活を考えてみると、背中を丸める場面が圧倒的に多いことに気付きます。家事をするときもデスクワークをするときも、私たちは体の前で作業をするわけですから、これはある程度は仕方のないことです。

ですが、このような姿勢は脊柱起立筋を無理に引っ張り、血行不良を起こします。血液循環が悪くなって凝り固まった筋肉は老廃物を排出することができず、それが痛みとなって表れてくることがあります。

またその状態でランニングをすれば、脊柱起立筋は無理に引っ張られた状態で着地の衝撃にも耐えなければなりません。

筋肉は縮む方向でしか働けませんが、縮もうとしているのに縮めないとき、圧力はとても高くなります。それもまた痛みとなって表れてきます。


3.背中の痛みを解消するには

背中が痛い原因をこのように考えると、それを解消させるには練習に目を向けるより、普段の姿勢を意識することが必要です。腰や背中を丸めないように注意します。

例えば携帯電話を使ったり本を読んだりする時も、下を向くのではなく、逆にそれらをなるべく顔の高さに持ってくるように意識します。こうしたちょっとした工夫を重ねていくことが大切です。

中には、背中の負担を抑えるために上下動の少ないランニングフォームにしたほうがいいと言われることもありますが、これは逆に膝下ばかりを使うフォームになって別の故障につながりかねないので、避けたほうがよいでしょう。

また無理に練習し過ぎないほうがいいという考えにもあまり賛成できません。根本的な原因が別のところにあるのであればそれを解消するほうが大切で、趣味のマラソンを制限することなく楽しんでほしいと思います。